ポストシーズンを楽しむ

野球に学ぶビジネスと人生の真理:失敗と「下克上」から得られる教訓

さて、たまにある私の野球投稿、お楽しみいただければ幸いである。なぜ野球ネタなのか。答えはシンプルに「私が野球好きだから」に他ならない。だが、野球というスポーツには、ビジネスに通じる深い教訓があり、はたまた人生そのものに通じる普遍的な真理が隠されていると、私は真剣に思う。

野球は「失敗のスポーツ」である

野球は「失敗のスポーツ」と広く言われている。有名な例え話として、プロ野球の一流バッターの証である打率3割を考えてみよう。これは10回中3回ヒットを打つことを意味するが、裏を返せば、7回は失敗しているのだ。一流のプロ野球選手ですら、7割が失敗。この事実が示唆するのは、「人は失敗するもの」であり、「失敗しても当たり前」なのだということ。

野球で言えば、まずは打席に立ち、バットを振ることが何よりも重要である。人生においても、まずは「やってみる」こと、つまりチャレンジすることが大切だ。何事も、行動を起こさなければ何も生まれない。

もう一つの例え話を。打数が100回あったとして、打率3割のバッターは30本ヒットを打つ。一方、打率2割5分、いわゆる「並」と言われるバッターも25本のヒットを打っている。その差は、たったの5本。ヒットにできたはずの球を打ち損じたり、ボール球に手を出したりして凡退した、そのわずかな差である。

この「たった5本の差」を埋めるにはどうすればよいのか。凡人(2割5分バッター)が成功者(3割バッター)になるためには、もっと練習し、試合で打席数を増やすことが必要だと言われる。これもまた、継続した努力や行動を積み重ねた経験が人生においていかに大切か、という教訓に通じる。

さらに言えば、そもそも凡人バッターが試合に出続けられる保証はない。試合に出してもらうためには、チーム内での態度や取り組み姿勢も重要視される。これはビジネスの世界でも同じである。仕事が回ってきたり、重要なポストに登用されたり、抜擢されたりするのは、日々の業務態度や組織内での信頼、コンピテンシーの発揮度などが大いに影響する

ポストシーズンの熱狂と当事者の「戦い」

さて、少し前置きが長くなったが、私の野球好きにお付き合いいただけると幸いである。

寄稿日現在、ワールドシリーズも日本シリーズも第2戦までが終了している。ワールドシリーズはロサンゼルス・ドジャース、日本シリーズは福岡ソフトバンクホークスが共に2勝と、好スタートを切った。10月末から11月上旬にかけて試合ができるのは、そこまで勝ち抜いてきたチームに与えられた特権と言えよう。

このポストシーズンの醍醐味は、なんと言ってもその真剣勝負を間近で観られることである。たとえ出場チームのファンでなくても、いち野球ファンとしてワクワクしながら楽しめる。

しかし、当事者(ここでいう「我がチームのファン」)であれば、そうはいかない。シリーズ出場は心から嬉しいものの、ハラハラドキドキの連続であり、それこそ人生や生活を賭けて“共に戦っている”感覚であろう。もちろん楽しいし、めったにない機会でもあるが、もはや試合観戦というよりは、親が子の試合を見るような「参戦」に近い感覚かもしれない。

私自身も阪神ファンとして、2023年の日本シリーズはテレビの前で“参戦”していた。18年ぶりのセ・リーグ優勝、9年ぶりの日本シリーズ進出、そして38年ぶりの日本一をかけた戦い…。結果的に日本一の歓喜を味わい、嬉し涙も流し、万感の思いであった。期間中はまさに必死で、余裕を持って試合を楽しむなどということは一切なかった。決して負け惜しみではないが、出場チームのファンではないほうが、心穏やかにシリーズを楽しめる、ということはあると思う。

「下克上」を生むクライマックスシリーズの功罪

話は変わるが、日本プロ野球には「クライマックスシリーズ」というポストシーズンの制度があることはご存知であろう。これは、2004年から2006年にかけてパ・リーグで行われたプレーオフ制度が原型となり、2007年から両リーグで導入され、現在に至っている。レギュラーシーズンで6球団中3位までが、日本シリーズへの出場権をかけて戦う仕組みだ。

最初に2位チームの本拠地で2位と3位が戦い、その勝者がリーグ優勝チームの本拠地で戦う(1位チームには1勝のアドバンテージが与えられる)。今回、セ・リーグ代表として日本シリーズに出場している横浜DeNAベイスターズは、レギュラーシーズンを3位で終え、2位の阪神とリーグ優勝した読売に勝利し、いわゆる「下克上」で日本シリーズ出場を決めた。

このクライマックスシリーズの制度については、賛否両論がある。

【賛成論の代表的な意見】
* リーグ優勝できなかったチームにリベンジの機会がある。
* リーグ優勝決定後も3位までの順位争いが重要となり、”消化試合”が減り、面白さが増した。
* 単純に楽しみが増えた。

【否定的な意見の代表例】
* リーグ優勝したチームが日本シリーズに出場できない可能性があり、リーグ優勝の価値を低くさせてしまう。
* 6球団中3位までが進出できるのは緩すぎる。強くもなく弱くもない中間チームが出場できてしまうのはどうか。
* 3位に入りさえすれば、リーグ戦で負け越したチームだったとしても日本一になるチャンスがあるのはおかしい。

最後に:勝負の世界と人生の教訓

確かに、制度上の問題点はあるかもしれない。しかし、私の個人的な意見としては、クライマックスシリーズがあることでプロ野球の楽しみ方が広がっているのは事実である。応援しているチームがリーグ優勝できなかったとしても、その後の戦いに希望が持てるからだ。

一般的に、9月中旬にはリーグ優勝チームが決まることが多いが、クライマックスシリーズは10月中旬まで開催される。クライマックスシリーズがなかった頃と比べて、約1ヶ月間はプロ野球を楽しめる期間が延長されたと言えよう。

しかし、2024年のセ・リーグのクライマックスシリーズでは、読売ファンも阪神ファンも落胆したことだろう。特に読売ジャイアンツはリーグ優勝しながら日本シリーズに進出できなかった。ファンとしては計り知れない悔しさがあったはずで、前述のクライマックスシリーズの問題点が改めて叫ばれることにもなる。

それでも、これは定められたルールの中での勝負の世界である。長いリーグ戦を通して上位成績で終わったチームが、下位チームに負けなければ良かった、とも言えるのだ。悔しいけれど、お互い様。

勝者の陰に敗者あり。
敗者をリスペクトし、その健闘を称えたい。

これは野球のみならず、人生にも通じる普遍的な教訓であると、私は思う。

中小企業診断士 小池俊

中小企業診断士 小池俊

経営コンサルタント/保険業専門成長コーチ

経営コンサルタント/保険業専門成長コーチ
トラリアル中小企業診断士事務所 代表
経済産業大臣登録 中小企業診断士(登録番号426896)
公益財団法人 日本生産性本部 認定経営コンサルタント(認定番号241008)
一般財団法人 日本能力開発推進協会認定 上級心理カウンセラー
株式会社かんき出版 登録研修講師
徳島出身、東京在住
野球好き
阪神タイガースファン

アクサ生命にてCAP(代理店担当社員)MVPを3度受賞。東京海上日動あんしん生命では、東京の支社を日本一に導く。
通算2000社以上の保険代理店を支援し、1000社以上の法人契約営業に同行。
営業エキスパートとして実績を積み、研修講師として経験を重ねる中で、大腸がんを罹患。
闘病を通じて、「人を育て、次世代に残すこと」の重要性と、「がんに罹患した経営者の不安」という課題に向き合う。
「保険で給付金を受け取れても、その後の会社はどうなるのか?」
その問いに向き合うべく、中小企業診断士を志す。 日本生産性本部の養成課程を修了し、2024年5月に独立。
現在は、保険業専門成長コーチ・研修講師として人材育成や組織づくりを支援。また、中小企業の経営支援も積極的に手掛ける。
通算500回以上の研修登壇実績を持つ。

得意分野は営業、研修、マーケティング、事業計画、組織活性化、コーチング、カウンセリング。

志は、企業の発展と働く人の幸せに貢献できる中小企業診断士になること。

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