法人契約獲得は一点突破にあり

生命保険の法人契約は、一般的に個人契約に比べて高単価であり、売上への貢献度も大きい。だが、「難しい」というイメージがつきまとうことも事実だろう。さらに、2019年2月のいわゆる「バレンタインショック」以降、法人契約の提案・販売は一層難易度を増している。

そんな厳しい環境下で、生保法人契約分野に新たに挑戦していくには、どうすればいいのか。その答えはズバリ、「一点突破」である。

「一点突破」とは何か?

「一点突破」とは、ある特定の、あるいはたった一つの保障や商品カテゴリーにおいて、あなたが圧倒的な専門家となることだ。その分野でご契約を獲得し、まずはお客様に「既契約者」となってもらう。これは経営学におけるランチェスター戦略の考え方にも通じる。

ランチェスター戦略は「弱者が強者に勝つ兵法」と語られることが多い。確かに、人的資源や資金力に富む大手企業や、優績者、銀行といった「強者」と、法人契約に挑み始めたばかりの募集人さんという構図には当てはまる。しかし、ここで私が言いたいのは、単に「弱者のための兵法」に留まらないということだ。

一点突破とは、その分野ではめっぽう強い状態を指す。一騎打ちでは決して負けない。そう、戦場を「局地戦」に持ち込むのである。

なぜ今、「局地戦」なのか?

生命保険の法人契約は、もはやレッドオーシャンと言っていい。優績者の牙城であったり、すでに特定の金融機関が契約を狙っていたり、あるいは銀行の融資先で機関代理店が入り込んでいるお客様かもしれない。武器や兵力で勝る彼らに打ち勝つためには、自らが圧倒的に強い局地戦で勝つしかないのだ。

具体的には、一つの保険商品の提案スキルを極限まで高め、それを繰り返し提案することである。どの保険会社にも必ず、他社に負けない独自の商品性があるはずだ。その保障や機能が、いかにその会社にとって必要不可欠であるかを、経営者に力強く伝えることに注力するのだ。

経営者の心を掴む「3分トーク」

基本的に、経営者は長い話を好まない。だからこそ、長くても3分で話せる、核心を突くトークを確立することが、一点突破を可能にする鍵となる。

ひと昔前の法人契約獲得ノウハウは、保険契約の一覧表作成などによる「顧客の囲い込み」が主流だった。確かに、断られにくい状況を作り、関係性を構築して見込み客を育てる手法としては有効だっただろう。

しかし、時代は変わった。今やお客様自身で情報収集や管理ができるようになり、そうした手法だけでは付加価値が乏しい。優績者や銀行に勝って「選ばれる」存在になるには不十分なのだ。

だからこそ、「一点突破」なのである。

「一点突破」がもたらす”錯覚”と選ばれる理由

ビジネスの世界とは不思議なもので、相手が「この人はこの一つにおいて抜きん出ている」と感じた時、お客様の脳内に「他も優れているに違いない」という”錯覚”が起こる。これは、お客様の”脳に空白を作る”ことだ。空白ができた人は、それを埋めようと、それ以外の相手の長所や提案を受け入れようとする傾向がある。

もちろん、この”錯覚”だけで終わってしまっては意味がない。しかし、たった一つの分野で「なかなか骨のある奴だ」「これはすごいかもしれない」という強烈なイメージを経営者に植え付けることができれば、それはまさに局地戦で勝ち、「選ばれる側」の存在となるのだ。

「一点突破」戦略の具体的な進め方

では、この「一点突破」をどのように作り上げていくのか。

具体的な対象としては、シンプルな保障内容の掛け捨ての保険商品から組み立てていくのが良いだろう。取扱保険会社によって最適な商品は異なるが、重要なのは特別な資料を多用することではない。

必要なのは、その一点に特化した「専用のトーク」を作り、徹底的に磨き上げることだ。

私たちはこれまで、このような法人契約獲得のためのトーク組み立て支援も行ってきた。現在は、その実践的な作り方を講座の中で具体的にお伝えしている。貴社の強みを活かした「一点突破」戦略にご興味があれば、ぜひご相談いただきたい。

中小企業診断士 小池俊

中小企業診断士 小池俊

経営コンサルタント/保険業専門成長コーチ

経営コンサルタント/保険業専門成長コーチ
トラリアル中小企業診断士事務所 代表
経済産業大臣登録 中小企業診断士(登録番号426896)
公益財団法人 日本生産性本部 認定経営コンサルタント(認定番号241008)
一般財団法人 日本能力開発推進協会認定 上級心理カウンセラー
株式会社かんき出版 登録研修講師
徳島出身、東京在住
野球好き
阪神タイガースファン

アクサ生命にてCAP(代理店担当社員)MVPを3度受賞。東京海上日動あんしん生命では、東京の支社を日本一に導く。
通算2000社以上の保険代理店を支援し、1000社以上の法人契約営業に同行。
営業エキスパートとして実績を積み、研修講師として経験を重ねる中で、大腸がんを罹患。
闘病を通じて、「人を育て、次世代に残すこと」の重要性と、「がんに罹患した経営者の不安」という課題に向き合う。
「保険で給付金を受け取れても、その後の会社はどうなるのか?」
その問いに向き合うべく、中小企業診断士を志す。 日本生産性本部の養成課程を修了し、2024年5月に独立。
現在は、保険業専門成長コーチ・研修講師として人材育成や組織づくりを支援。また、中小企業の経営支援も積極的に手掛ける。
通算500回以上の研修登壇実績を持つ。

得意分野は営業、研修、マーケティング、事業計画、組織活性化、コーチング、カウンセリング。

志は、企業の発展と働く人の幸せに貢献できる中小企業診断士になること。

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