父から受け継いだ、専門家としての信念

2026年10月23日、金曜日。
父が他界した。
翌24日の土曜日には通夜を、25日の日曜日には葬儀と初七日法要を、喪主として執り行った。
会葬を終えてちょうど一週間が経った今日、この原稿を書いている。
不思議なもので、身近な人を亡くした悲しみや寂しさは、喪主として挨拶をしたときよりも、日を追うごとに強くなっているように感じる。

最後に会った日のこと

10月には、スポーツの日を含む三連休があった。
10月10日から12日まで、徳島の実家に帰省し、父と会うことができた。
とはいえ、10月10日(土)は、実家に着くやいなや、父の容態が悪化した。
すぐに救急車を呼び、大学病院へ緊急搬送された。妹とともに、父が運ばれる救急車に同乗した。

父は末期の肝細胞癌を患っていたが、肺炎も併発していた。
救急搬送された大学病院では、抗生物質やブドウ糖製剤、電解質の点滴などによって発熱は抑えられたものの、当直のドクターからは、覚悟を決めるように言われた。
ところが、翌11日、そして12日には、父の体調が少し持ち直した。

そして10月12日。
「東京に戻るお前とは、これが最期になるかもしれないから写真を撮ろう。」
父はそう言って、私と妹と一緒に、笑顔で写真を撮ることができるまでに回復した。
その写真は、今となっては大切な一枚である。

最期に交わした言葉は、何気ない日常の会話だった。
「お父さん、行ってくるね。元気でいてね。」
「うん。気を付けて。」

そうして10月12日に東京へ戻った私は、通常の業務に復帰した。その後の父への対応は、妹が担ってくれた。

大学病院では、これ以上の治療が難しくなったため、10月20日(火)に一般の病院へ転院した。

そして、その3日後の朝、父は帰らぬ人となった。
妹から連絡を受け、私は急ぎ徳島へ向かった。

あらかじめ覚悟をするように言われていたこともあってか、父が亡くなったという実感がなかなか湧かなかった。
到着してからは、通夜や葬儀、初七日法要の打合せなど、やるべきことが次々とあった。
会葬当日は喪主を務め、長男として父を見送ることができた。

父は税理士、私は中小企業診断士

父がこの世を去ってから、今日で9日が経つ。
しかし、今日11月1日(日)になって、様々な思いが溢れてきた。
当然ながら、父はもうこの世にはいない。
それでも、父から学んだことは、私の中に残っている。

父は税理士であり、私は中小企業診断士である。
専門とする業務は異なるが、クライアントである会社の成長や発展を支援するという点では、共通する部分も多い。

クライアントの会社経営を良い方向に導き、人が育つことで、その会社の成長や発展を支援する仕事だ。

私は独立して、まだ2年半ほどしか経っていない。
帰省するたびに、父は士業の先輩として、様々なことを伝えようとしてくれていた。

専門家としての立ち振る舞い。
クライアントや周囲の人への接し方。
そして、仕事に対する信念。

今になって振り返ると、父が話してくれた一つひとつの言葉には、長年、税理士として仕事を続けてきたからこその重みがあったのだと思う。
当時は何気なく聞いていた話も、今になって思い返すと、その意味を改めて考えさせられる。

専門家として、本当に大切なこと

士業という仕事は、専門知識や資格があって初めて成り立つ。
しかし、それだけでクライアントから信頼されるわけではない。
どれだけ優れた知識や経験を持っていても、相手の立場に立って考えることができなければ、本当の意味で役に立つことは難しい。

クライアントが何に悩み、何を実現したいと考えているのか。
その思いを受け止め、専門家として何ができるのかを考え、誠実に向き合う。

そして、自分の仕事に責任と誇りを持つ。
私は、父の姿や言葉から、そうした専門家としての基本姿勢を学んできたのだと思う。

経営者にとって、税理士や中小企業診断士は、単に専門知識を提供するだけの存在ではない。
経営の悩みを相談できる相手であり、ときには厳しいことも伝えながら、会社の未来を一緒に考える存在でもある。

だからこそ、専門知識を磨き続けることはもちろん、人として信頼される専門家でありたい。
その思いは、父から受け継いだ大切なものの一つである。

父から受け継いだものを、次の仕事へ

父が亡くなったことで、もう直接話を聞くことはできなくなった。
もっと聞いておけばよかったと思うこともある。
もっと話をしておけばよかったと思うこともある。

しかし、父がこれまで私に伝えようとしてくれたことは、これからの仕事の中で生かしていくことができる。
私は中小企業診断士として、これからも多くの経営者と出会い、その会社の成長や発展を支援していきたい。
そして、知識やノウハウを提供するだけでなく、経営者の思いを受け止め、社員の皆さんが主体的に動き、会社全体が成長していけるような支援をしていきたいと考えている。

それが、父から受け継いだものを、自分なりの形で次につないでいくことなのかもしれない。

父が長年、税理士として積み重ねてきた仕事。
その姿勢や信念を、今度は私が中小企業診断士として受け継いでいく。
父が教えてくれたことを忘れず、専門家として、一人の人間として、これからも成長し続けていきたい。

改めて、父に感謝したい。

中小企業診断士 小池俊

中小企業診断士 小池俊

経営コンサルタント/保険業専門成長コーチ

経営コンサルタント/保険業専門成長コーチ
トラリアル中小企業診断士事務所 代表
経済産業大臣登録 中小企業診断士(登録番号426896)
中小企業庁認定 経営革新等支援機関(認定支援機関番号109313005610)
公益財団法人 日本生産性本部 認定経営コンサルタント(認定番号241008)
一般財団法人 日本能力開発推進協会認定 上級心理カウンセラー
株式会社かんき出版 登録研修講師
徳島出身、東京在住
野球好き
阪神タイガースファン

アクサ生命にてCAP(代理店担当社員)MVPを3度受賞。東京海上日動あんしん生命では、東京の支社を日本一に導く。
通算1000社以上の保険代理店を支援し、1000社以上の法人契約営業に同行。
営業エキスパートとして実績を積み、研修講師として経験を重ねる中で、大腸がんを罹患。
闘病を通じて、「人を育て、次世代に残すこと」の重要性と、「がんに罹患した経営者の不安」という課題に向き合う。
「保険で給付金を受け取れても、その後の会社はどうなるのか?」
その問いに向き合うべく、中小企業診断士を志す。 日本生産性本部の養成課程を修了し、2024年5月に独立。
現在は、保険業専門成長コーチ・研修講師として人材育成や組織づくりを支援。また、中小企業の経営支援も積極的に手掛ける。
通算500回以上の研修登壇実績を持つ。

得意分野は営業、研修、マーケティング、事業計画、組織活性化、コーチング、カウンセリング。

志は、企業の発展と働く人の幸せに貢献できる中小企業診断士になること。

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