久々のブログ更新となった。2025年に入ってからの怒涛の忙しさで、休日もほとんど取れず、ホームページの刷新も手が回らない状態であった。
さて、保険業界では当たり前のことではあるが、今回は生命保険会社の内勤社員(いわゆる総合職)が担う「営業」という、他業界からすると分かりにくい役割について深掘りしてみたい。
目次
生保内勤社員の「営業チャネル」は主に3つ
生命保険の内勤社員が関わる営業チャネルは、大きく分けて以下の3つが存在する。
* 営業職員チャネル: 現在も全生保会社の売上の約6割を占める、基幹チャネルだ。
* 代理店チャネル: この20年で急拡大したが、ここ数年、不祥事が相次いでいるという課題も抱えている。
* 団体保険チャネル: 主に大企業を対象とし、総合福祉団体定期保険や団体年金を取り扱う。株式保有比率や伝統的な取引関係に基づく、比較的固定的な営業チャネルであり、ある意味で最もスマートな世界かもしれない。
今日のブログでは、特に「営業職員チャネル」と「代理店チャネル」に焦点を当てて話を進める。
「売る」のではなく「売ってもらう」プロフェッショナル
大前提として、生保の内勤社員が生命保険を直接販売することはない。彼らの使命は、生命保険を販売してくれる人、すなわち「募集人」を採用し、育成することである。そして、その募集人が日々円滑に業務を進められるよう、支援し、発生するあらゆる問題を解決することに徹するのだ。
この「募集人」と内勤社員との関係性は、それぞれのチャネルによって大きく異なる。
営業職員チャネル:上司と部下の「タテ」の関係性
営業職員チャネルでは、募集人は保険会社と雇用関係にある。そのため、内勤社員は営業所長や副長といった立場で、募集人を直接的に支援する。いわば、募集人にとっての「上司」、つまり「タテ」の関係だ。
私自身も入社2年目から「係長」として、親よりも年上の営業職員たち、約30~40名の営業職員の上司となり、営業所の運営に深く携わった。午前中は朝礼を仕切り、前日の挙績(売上)発表や勉強会を実施。その後は営業職員に同行し、契約獲得に奮闘する日々であった。夕方には帰社し、挙績集計、支社への報告、営業所の飾り付け(挙績グラフにテープを貼ったり、リボンを付けたりする)、そして全営業職員の営業日誌へのコメント記入など、まさに多忙を極める毎日であった。
ほとんどが年上の営業職員だが、彼ら、彼女らは私にとって“守るべき存在”である。お客様からのクレームがあれば、上司として迅速にお客様対応を行う。日々の問題解決の積み重ねが、職員からの信頼に繋がるのだ。
これは約30年前の話だが、この働き方は現在も大きく変わっていないようだ。日々のルーティンワークをこなしながらも、突発的な問題が常に発生するので、その解決が内勤社員の大きな役割でもある。いかに営業職員に気持ちよく仕事に打ち込んでもらう環境を作るか、それこそが内勤社員の最大の使命と言えるだろう。
代理店チャネル:対等な「ヨコ」の関係
一方、代理店チャネルの場合、募集人は代理店と雇用関係にあるため、生命保険会社の社員とは基本的には「ヨコ」の関係、つまり取引先という関係性になる。保険業界ではよく、保険会社が「メーカー」、保険代理店が「販社」と言われる。特に乗合保険代理店では、様々な保険会社の商品を自由に扱うことが可能だ。極端な話をすれば、乗合代理店が収益を上げるために、比較推奨ルールを遵守し、顧客の意向を尊重すれば、どの保険会社の商品を販売しても問題ない。当然、代理店担当者も複数いるため、その担当者の所属する保険会社の商品でなくても構わないのだ。
乗合代理店におけるソリシター営業は、まさに「なぜこの保険会社の商品を売るべきか」という理由を、募集人ごと、代理店ごとに作り上げていくことが求められる。そこには様々な理由が存在するが、ここでは割愛する。
損保系代理店における独特の関係性
ただし、損保系生保の専属や準専属代理店※では文化が少し異なる。損保研修生出身の代理店募集人にとって、保険会社の社員が「先生」のような立場になることもある。
※準専属代理店とは、東京海上日動代理店における東京海上日動あんしん生命と明治安田生命の乗合、損保ジャパン代理店における損保ひまわり生命と第一生命の乗合などを指す。
また、損保系の専属・準専属代理店では、保険会社が新商品を発売した際などに「こちら、ウチの新商品です」とお客様に言ってくれることがある(本来は名乗りのルールなど、好ましくないが…)。それぐらい、保険会社と保険代理店が近い距離にいる関係性でもあるのだ。
損保系代理店は生命保険には不慣れな方が多い傾向にあるため、代理店担当者は時には先生やメンターとしての役割を担う。生命保険の販売手法を伝えたり、顧客先に同行したり、代理店の営業目標や体制整備に対して助言することもあり、これは非常に興味深い世界であった。
私の26年超にわたる生命保険会社での勤務において、営業職員チャネルと乗合代理店チャネル、損保系代理店チャネルで経験を積んできた。営業職員さん、そして代理店募集人さんの皆様方と仕事をさせていただいた日々は思い出深く、私を成長させてくれたことに感謝の念が尽きない。
「あなただから売ってくれる」世界を創るには
さて、私が今回最も伝えたいこと。それは、営業職員チャネルであれ、代理店チャネルであれ、生保の内勤社員に求められる究極の役割は、販売者(募集人)の心を動かし、行動が変わり、挙績(売上)となり、最終的には営業職員さんや代理店募集人さんの収入アップに繋げることである、という点だ。
単に良い保険商品だから売れる、というわけではない。重要なのは、「あなただから、売ってくれる」という関係性を築けるかどうかだ。
ここで言う「あなた」とは、営業職員チャネルでは所長や副長、係長。代理店チャネルでは代理店担当者(ソリシター)を指す。
では、募集人さんの販売意欲を継続的に引き出す「販売動機」とは何であろうか。
もちろん人間関係や恩義も大きな要素だろう。
しかし、最も重要なのは、どのような関係性を構築すれば、募集人さんが継続的にあなたの保険商品を売ってくれる状態になるのか、という問いではないだろうか。
もしそのような揺るぎない関係性が構築できれば、営業現場で自信を持って仕事に取り組むことができ、月末のプレッシャーに怯えることもなくなるであろう。
その具体的な方法とは。
個別相談や研修にて詳細を伝えている。もし興味があれば、ぜひお問い合わせページからお気軽にご連絡いただきたい。
あなたやその組織の”今”に合った答えが、そこにあるかもしれない。
コメント
COMMENT